
── 「おばこの匠」はどのような思いから誕生したのですか?
現在の日本では、お米は生産者からJA(農業協同組合)などへの委託販売が基本です。私自身、どんなにいいものをつくっても同じ値段で一律に販売される米の流通に疑問を持っていました。これが、生産者のモチベーションを高め、技術を引き出し、地域の価値を上げていくことはできないか、というJA秋田おばこの思いと一致して、新ブランドづくりのプロジェクトになりました。JA秋田おばこは管轄地域のお米を消費者に直接売りたいという意向が強く、スーパーのサミットや西友に販路をもつ弊社とは、2003年から取引がありました。
── ブランドを立ち上げてからどのような変化がありましたか?
コンクールで自分の米が選ばれて「おばこの匠」として販売されることを目指すために、土壌研究や稲の生育に関する部会が自主的にできるなど、生産者の方がものすごくやる気になってくれています。JA秋田おばこは米の取扱量が日本でもトップクラスでありながら挑戦を続けており、県外からの視察も増えているそうです。弊社にも、各地のJAから「うちでもやってほしい」とお申し出をいただくほどです。しかし、ブランドはみんなの思いが一致してつくられるものですので、そんなにすぐに汎用化できないのも正直なところです。
── 山田屋本店と住友商事が組むことには、どんな強みがありますか?
ブランドづくりの根幹となるコンクールの審査をしていただける人は、お米に対する確かな知識と味覚を持った秋沢さんしかいない、と思っています。また、山田屋本店はお米にこだわりのある多くのお客さまに対面販売をしているという点が、「おばこの匠」のストーリーを伝える場として最適かつ最大の強みです。コンクールの初年度に金賞を受賞した生産者は、田んぼに引く水を炭でろ過するなど、作り方にも徹底的にこだわっていました。産地、銘柄、収穫年という従来の指標を超えた新しい価値を伝えるためには、こうしたストーリーに共感してもらえるパートナー、山田屋本店の存在が不可欠でした。
── 今後の展望についてお聞かせください
このプロジェクトは、生産者のモチベーション向上や地域活性化という点から、非常に価値のある取り組みだと思います。今後は、「おばこの匠」で得た経験をもとに、中国でもこのビジネスモデルを導入しようと計画中です。付加価値をどう高めるか。消費者からは生産者が見え、生産者からは販売の様子や購入者が見えるような仕組みを整えることで、よりおいしいお米が生まれるサイクルを作っていければと思っています。
2011年9月UP





